開催日:平成19年8月7日(火)
名称 | 高等学校・養護学校家庭科担当教員学術交流会 |
開催場所 | 別府大学食物栄養科学部食物栄養学科 |
実施責任者 | 西澤 千惠子 |
−報 告−
経 緯 「調理学」を学ぶ者にとって日本伝統の「京料理」を調理することは一つの夢であり、目標でもある。しかし交通が発達している現在でも、距離的に離れている九州、大分県において「京料理」を学ぶ機会は少ない。
一方、昨今「スポーツと栄養」の関係が認識され、多く取り上げられるようになってきた。しかし高等学校において、特にスポーツ系の部活動において、「栄養の大切さは理解できるが、具体的にどうすれば良いかわからない」という声を耳にする。
ところで別府大学食物栄養科学部食物栄養学科では学科発足以来、高等学校家庭科担当の先生を対象に、大学側からは「食」についての最新の情報を提供し、高等学校の先生からは高等学校における最新の情報を話していただき、高等学校と大学での教育に役立てようという試みが行われており、本年は第6回目を迎える。
本交流会の今年度のテーマとして、「食とスポーツ」を取り上げた。この中で「食」については、できるだけ県内産の食材を用い、高等学校の家庭科授業でも使えるような京風料理の調理実習を行うこととし、講師には長年大阪と京都で修業され、現在、観光地別府を代表するホテル内の日本料理店の料理長をしておられる佐田満幸氏にお願いした。「スポーツ」の部分では、かつてプロ野球球団で管理栄養士として働いておられた本学助教、平川史子氏に講演をお願いした。
実 施
(1)準備
平成19年6月27日に大分県内の全県立の全高等学校と養護学校、私立高等学校73校の家庭科担当の教員、スポーツ系部活に関係している教員宛に、「お知らせ」の手紙を発送し、並行して大学のホームページにも載せた。それに対し、19高等学校から27名の申し込みがあった。
詳細な計画や用意、打ち合わせは前日までに全て済ませた。前日の午後には調理実習の材料が届き、さらに佐田氏が大学に来られて、今回使用した「白ずいき」の下処理を行った。ちなみに「白ずいき」は大分県日田産のもので、県内に長く住んでいる人でもあまり目にしたことが無いものである。
(2)当日
8月7日(火)に「大分県高校家庭科担当教員の料理講習会と講演会」を開催した。日程は冊子中に示した。ほぼこれに沿って進行した。
学生アルバイトは当初予定していた8人より2人多い10人になり、駐車場への車の誘導や学内の案内等が円滑に行われた。
食物栄養学科入口 | 受付 | 配布物 |
調理実習は最初に佐田氏によるデモンストレーションがあり、次に4〜5人の高等学校教員と補助のアルバイト学生1人のグループで行った。
対象が家庭科の教員であったので時間内に完成し、試食をした。試食会においては本学の教員も加わり、高校教員と本学教員の情報交換及び交流をはかった。
高等学校の教員は卒業生を大学に送り出しているが、現実の大学に接する機会が少なく、大学教員においては、学生がどんな環境で3年間の高校生活を送ってきたかを知る機会がない。そのために一つのテーブルを高等学校と大学の教員が囲んで話をすることが出来たのは、互いを知る上で大変有意義であった。
次に場所を講義室に移し、「ジュニア期のスポーツと栄養 〜スポーツ系部活動に属している生徒たちの栄養管理」という講演が行われた。
前述したようにオリンピックをはじめ種々の競技においても「スポーツと栄養」は切っても切れない関係にあることが明らかにされてきている。しかし高等学校スポーツ系部活においては、重要性は理解できても、具体的にどうしたら良いのかということまでは知識が普及していない。高等学校の教員はかつてプロ野球球団の管理栄養士であった本学助教の講演に熱心に耳を傾けていた。講演後の質疑応答は活発に行われた。
講演の後、希望者は学内の施設見学をした。
終わりに
今回で本交流会は6回目になる。高等学校教員の間でも、本行事が浸透してきているような感じを受けた。
講演終了後に、高等学校教員に簡単なアンケートを記入してもらった。回答からは「大学の詳細について知ることができ、有意義であった」「和食の基本が学べて勉強になった。今後に生かしたい。」「前々からスポーツ栄養について詳しく勉強したかったので、よい機会となった。」などという記述があり、全員が「参加してよかった」と書いてくださった。大学教員は高校生の生活について高校教員の話を聞くことができ、在学生を知る上で貴重な経験となった。これらのことから、本校流会の目的は達成されたと思われる。
今回の会は、高等学校と大学教員の交流会ではあったが、調理実習や講演内容は高校生にとってもプラスになるものと期待している。今後もこのような交流会を持ちたいと考えている。