イベント広告に関しては、近隣の小学校・保育園・公民館にチラシを配布しポスターを掲示。
参加者は本学近隣の一般の方を中心に、本学学生など計約150名。
はじめに、本日の食育講演会にあたり、生活科学科科長市丸教授より参加者へ今回の主旨の説明、ご挨拶がありました。
次に、講師である地元メディアで大活躍されている料理研究家山際千津枝先生の略歴等について紹介。
15時10分より「食べるってなあに?~楽しく親子で食について考えてみませんか~」というテーマで講演会を開催いたしました。
講演内容は、次の通りです。
私は栄養士として就職し、料理に興味を持ち、料理家として今に至っている。何かをこつこつやる勇気が大切。皆さん、能力を秘めているのだから勇気を持ち、自分のやりたいことをする。そして、継続は力。
食育とは新しいものではなく、明治時代からある言葉で、知育・徳育・体育と連動し総合的に考えるものだ。食べることの大切さを教えることだ。
汚れたら洗う、散らかったら片づける、お腹が空けば食べる。当たり前のことを習慣化すればよい。一日の始まりは朝食、しっかりとリズムをつくる事で欠食など考えられない。親の役割は、子どもを特別なものと考えず学力だけでなく、生活能力といった人間力をつけ、健康で幸せに生きる術を教えること。親から可愛がられ、そして愛される人間としての教育がなされれば、感謝の気持ちや他人への気遣いができるようになる。
また、食べる以前の問題として、日本人の体質などを考える必要がある。日本人は、イヌイット、ネイティブ・アメリカンなどと同様に糖質を節約できる数少ない民族だ。
現在、ライフスタイルの変化に伴い食材が豊富となり食生活も洋風化している。望めば何でも手に入る時代となっている。その結果、過剰な摂取により肥満や糖尿病などの生活習慣病が急激に増えている。
我々は全員英雄の子孫である。病気に強く、元気でなければ生き残れない。戦国時代、傷を負っても血が止まり生き残れた。血液どろどろだった。現在では、血液が固まることに起因する疾患で多くの人が死亡している。さらさらでないと困ることになる。野菜など食べることが必要なのだが、日本人は韓国の半分くらいしか食べなくなっている。アメリカはガン予防などで日本より増えている。
現代では、たんぱく質や脂肪は足りている。子どもは教えられなくても甘さや脂肪は好きだ。しかしダシや野菜のおいしさなどは教えなくてはならない。これが重要である。だから脂肪分が少ない、和食中心の日本の伝統的な料理が合っている。
セレブたちの食事として玄米菜食、マクロビオティック、ローフードなどはある意味伝統的な日本食である。昔からの雑穀類やごぼうなどの根菜類、大豆、野菜など食べていたことを考えれば低インスリンダイエットは実践できる。
子供時代の食習慣は、大人になってからの健康にまで影響する。バランスのよい食事とは、簡単に言えば主食・主菜・副菜・汁物(ご飯にサンマの塩焼き、酢の物やお浸し、野菜などの煮物、具だくさんの汁)。ただ、最近はこの考えが無くなってきている。炒めたり、揚げたりなどはあまり技術を必要としないが、お煮付けなどの煮物は難しい。この伝統的な食事作りを教える必要がある。野菜嫌いなら刻んでハンバーグにするなどの方法もあるが、ライフスタイルが問題なのだ。
親が笑顔で明るく、楽しくすれば家族も皆明るくなる。これで免疫力もアップする。食事の重要性は、何よりも楽しく食べ、それを親子で共有すること。子どもはお手伝いをすることで料理作り、片づけを含め食事のマナーなど多くのことを学んでいく。
私は、職業柄、日頃より、口角を上げることに意識し、笑顔を心がけている。皆が楽しくなることが重要。コミュニケーションが取りやすくなる。
世界中では、食料不足による栄養不足や飢餓で死亡する子供たちが多い。食べ物があり、幸せを感じる心が大切だ。ブータンの国王が1976年にGNH(グローバル・ナショナル・ハピネス)値が世界一になりたいという言葉がある。物質的には恵まれなくても精神的に幸せになりたい。この精神的なものが重要ではないか。
学生の方が多いようですが、食という切り口で仕事を考えると将来有望。料理家、フードコーディネーター、ソムリエ、フードスペシャリストなど。そして栄養士をはじめとする健康分野などの職がある。例えば、料理が好きならコンピュータを利用し、レシピや写真をホームページに掲載する。これで仕事になる。皆さんも、しっかり専門の授業を勉強し実力をつけるとともに、色んなことに興味を持ち視野を広くして、食を総合的に理解してもらいたい。
最後に、本日の講演が、親子で食について考えるきっかけになれば幸いです。
講演会を終えて、観客の方の感想をうかがうと、「とても楽しいお話でわかりやすかった。先生のパワーを感じた。」「テレビ出演されている方なので、緊張したが、お話を聞くと気さくな方で楽しかった。」「仕事する上でも役立つ話があり、勇気をもらった。講演を聴けて良かった。」「就職で悩んでいたが、お話を聴き自分のやりたい事は何か、もう一度考えたい。」「一生懸命やる事で色んな道が開けると感じた。」など好評価でした。
1回の講演会でしたが、ユーモアをまじえたお話にあっという間の楽しい時間を過ごしてもらえたのではないかと思います。今回の食育講演会が、あらためて食について親子で考えるそういうきっかけ作りに貢献していれば幸いです。
最後になりましたが、当日の講師の山際千津枝先生、ご協力いただきました近隣小学校・保育園の先生方並びに公民館職員の皆様、また、ご参加いただきました多くの方々に、お礼申し上げます。