―啓発事業実施報告書―

地域住民セミナー「発酵食品で健康に生きよう」
 

1回目

2回目

平成24年9月29日

平成25年3月 2日

塩麹を作って食べてみよう

味噌を作って食べてみよう

開催場 別府大学食物栄養科学部食物栄養学科
実施責任者 平川 史子   配布資料はこちらから

<経 緯>

伝統的な日本の食事が健康長寿食であって、日本人が長生きであることの要因のひとつであるといわれています。中でも、米や大豆などを原料に使っている味噌、醤油、酒、みりんなどは日本特有の発酵食品であり、これらを支えているのが麹です。麹菌の作用により、デンプンは糖に分解されて甘みに、タンパク質はアミノ酸に分解されてうま味になり、素材のおいしさやうまみを引き出してくれます。

しかし、昨今、味噌や漬物などを自宅で作る人が少なく、市販のものを買って済ます人がほとんどであり、日本の伝統食である発酵食品の味を知らない子ども達も増えているのが現状です。その結果、栄養の偏り、不規則な食事、肥満や生活習慣病の増加、過度の痩身願望などの諸問題が発生し、国民一人一人が自ら「食」のあり方を学ぶことが求められています。

今回は、大分県佐伯市の「糀屋本店」9 代目麹師 浅利良徳氏を講師に迎え、日本の発酵食品の栄養学的な解説を交えながら塩麹や味噌を実際に作ることで、発酵食品を身近に感じてもらいました。さらに本学教員が家庭で実践できる発酵食品のレシピを紹介し、生活習慣病の予防のために日本特有の発酵食品をできるだけ毎日の食事にとりいれてもらい地域住民の方々が「健康に生きる」ことに関心を持ってもらうことを目的としました。

<日程および内容>

(1)
対象者
対象者の募集は別府市報、ホームページで行い、また過去の講座参加者にも連絡しました。その結果、両日とも34 名の申し込みがありました。
(2)
1回目「塩麹を作って食べてみよう」
日時:平成24 年9 月29 日(土)10:00~13:00
講義:麹の栄養について
実習:塩麹作り
1.
今年度で11 年目を迎えた別府大学食物栄養学科です。地域住民対象公開講座も11 年目を迎えました。
食物栄養学科 星野隆学科長より開会の挨拶です。
2.
塩麹ブームの火付け役、
大分県佐伯市の糀屋本店 9 代目 麹師 浅利良得氏
別府大学 発酵食品学科の卒業生でもあります。
3.
米麹をバラバラにほぐし、塩を加えてよくもみます。
(塩麹の作り方は配布資料参照)
4.
塩麹の出来上がりです。
保存容器に入れ、常温で10 日ほどおきます。
5.
一方、大量調理室では、食物栄養学科の学生達が、参加者の方々の昼食を準備しています。
6.
本日のメニュー
塩麹さっぱり五目ごはん
塩麹ささ身のくずたたき吸い物
トマトときゅうりの塩麹和風サラダ
(レシピはこちらから)
7.
昼食をいただきながら、平川史子准教授が麹の栄養についての講義をしました。皆さん、熱心に聞いてくださいました。
なお、作った塩麹は参加者の方々それぞれお持ち帰りいただきました。
(3)
2回目「味噌を作って食べてみよう」
日時:平成25 年3 月2 日(土)10:00~13:00
講義:味噌の栄養について
実習:味噌作り
1.
別府大学 食物栄養科学部 江崎一子学部長より開会の挨拶です。
2.
まずは、糀屋本店 9 代目 麹師 浅利良得氏「味噌作りのすすめ」の講義です。
3.
大豆は前日から水につけ、柔らかくなるまで煮ておきます。
(味噌の詳しい作り方は配布資料参照)
4.
大豆、米糀、麦麹、塩を一人分ずつセットしました。
5.
手作り味噌に挑戦。まんべんなく混ぜ合わせるのに、思った以上に力が入ります。
講師の先生のアドバイスを真剣に聞いています。
6.
出来上がりです。空気が入ると酸化して色が黒くなるので、フリーザーバックに入れて冷蔵庫にて、2ヵ月以上熟成させます。
7.
一方、大量調理室では、食物栄養学科の学生達が、参加者の方々の昼食を準備しています。
8.
本日のメニュー
塩麹のちらし寿司
鶏肉とたっぷりきのこの味噌麹蒸し
春の味噌麹スープ
ひな祭り甘麹寒天
(作り方は配布資料参照)
9.
昼食時間には、平川史子准教授が味噌の栄養についての講義をしました。皆さん、熱心に聞いてくださいました。
なお、作った味噌は参加者の方々それぞれお持ち帰りいただきました。
10.
番外編
発酵食品を支える麹をテーマに塩麹と味噌を作りましたが、その他にも、甘麹、味噌麹も料理に使っています。
(詳しい作り方は配布資料参照)
甘麹
味噌麹

<終わりに>

別府大学食物栄養科学部は管理栄養士養成を行う食物栄養学科と全国でも数少ない醸造発酵学を専門とする発酵食品学科の2 学科からなり、地域における食と健康を担う教育拠点としての役割を担っています。当大学では地域住民の方々(高齢者)との交流を深めるために、毎年地域住民公開講座を開催しており、今年で11年目、回数としては16 回、17 回目を迎えます。今回のセミナーは食物栄養学科と発酵食品学科が共同で開催しました。

参加者は2~3 回目とリピーターが多く、毎年この講座を楽しみにされています。

受講者の感想としては

など麹を通じて発酵食品の良さを再認識した感想が多く寄せられました。

今後も別府大学では、生涯学習等の社会的要請に応えるため、地域住民(高齢者)の方々と高齢者社会をこれから支えていく大学生(孫世代)と交流を深め、協力しあえる関係を築くことで、双方の世代に対して「食」への関心が高めていきたいと考えています。