函館短期大学では、函館市内の小学校1、2年生の親子を対象に、「親子で楽しく、野菜の好き嫌いをなくそう!」というテーマで食育講座(共催:日本フードスペシャリスト協会)を開催致しました。
近年、お子さんの好き嫌いに悩んでいるご家庭は少なくありません。特に、保護者の方自身にも好き嫌いがある場合には、お子さんの好き嫌いを改善することは、なかなか難しいようです。また、好き嫌いをなくそうとしてお子さんを叱ってしまうご家庭では、本来楽しいはずの家族での食事の場面が、親子双方にとって暗く、辛い時間になってしまい、上手に好き嫌いの改善を図れるご家庭は少ないのが現状のようです。
そこで本講座では、食材として北海道産の野菜(にんじん、ピーマン、アスパラ等)を取り上げ、親子で楽しく野菜の好き嫌いを克服することを目指します。本講座では講義だけでなく調理実習も行い、調理の楽しさにも実際に触れていただく機会を提供したいと考えています。
また本講座では、本学食物栄養学科で栄養教諭を目指す学生や、本学保育学科で保育士・幼稚園教諭を目指す学生が本講座にボランティアとして参加し、本講座を受講する子ども達と触れ合うことで、学生の将来の職業・資格に対する意識を明確化することも目指します。
スタッフは9時前後から、準備を始めました。調理室では調理実習の下準備を行い、食堂や廊下には受付を設置し、着用いただく白衣やサンダルを並べ、参加者の皆さんをお迎えする準備をしました。
①親子お揃いの野菜の名札と割烹着(保護者は白衣)、 マスク、ヘアー・キャップを用意しました |
参加者の皆さんは欠席も遅刻もなくお集まりくださいましたので、予定通り、10時半から、本学食堂にて開講式を開始しました。司会は保育学科・植月美希専任講師が担当し、まず、保育学科・木村美佐子専任講師より、開講の挨拶とともに、食育月間について説明を行いました。
②開講の挨拶をする木村専任講師 |
③開講の挨拶を聞いている参加者の親子の皆さん |
その後、司会より、本日のスケジュールとメニュー説明、スタッフ紹介を行いました。本日のメニューはソーダブレッド、野菜いろいろスープ、にんじんジャム、デザートは函館市近郊の北斗市で採れたイチゴです。
開講式終了後は45分ほど、親子が分かれて講義を受けます。保護者の方は白衣を着用して調理室へ移動し、子ども達はそのまま食堂で、子ども向けの講座を受講しました。
保育学科の学生ボランティア4名が自己紹介の後、「やさいのマーチ」という歌(ホクレンホームページ参照)を歌い、その歌に合わせてダンスを踊り、参加している子ども達の緊張をほぐしました。
④保育学科の学生ボランティアが、自己紹介をしています |
⑤みんなで、「やさいのマーチ」に合わせてダンスをします |
⑥元気にダンスを楽しみます |
その後、にんじん、たまねぎ、アスパラ、レタスについて、「にんじんを食べるときれいになれる」「レタスを食べるとうんちが出る」といった、野菜の働きについて説明をしました。
⑦野菜の働きなどについて、写真などを使って説明しました |
次に、食物栄養学科で栄養教諭を目指す学生ボランティア3名が、野菜についての紙芝居を読みました。
⑧「やさいのおしゃべり」という紙芝居を始めます |
⑨真剣に紙芝居に聞き入っています |
次は、クイズに移ります。まずは、子ども達の好きな野菜を当てるクイズです! 子ども達には、自分の好きな野菜を学生ボランティアのお姉さん達にナイショで選んでもらいますが・・・、それをお姉さん達が当ててしまうという手品(?)です。さて、当たりますかどうか・・・?
⑩子ども達に、カードに描かれている野菜や果物の中から好きなものをこっそり一つ選んでもらいます。 それを、学生ボランティアが、子ども達の好きな野菜・果物を言い当ててしまいます!! |
⑪野菜当てクイズに立候補する子どもたち |
お次は、野菜のお腹クイズです。輪切りの野菜を見て、何の野菜か、当ててもらいます! 子ども達は、元気に当ててくれました!
⑫この断面は、何の野菜でしょうか? 答えは・・・ ピーマン!! |
最後は、野菜当てクイズです。箱の中に入っている野菜は何でしょうか? 代表の子ども達が触ってみて、その野菜の特徴を話してくれます。それを参考に、箱の中の野菜を、みんなで推理してもらいます!
⑬どんな野菜が入っているのかな? 「ツルツルしてる!」と答えてくれました |
みんな元気にクイズに答えてくれて、学生ボランティアによる講座が終了しました。トイレ休憩を挟んで、子ども達は身支度をして、調理実習に向かいます。
⑭身支度中の子ども達 |
子ども向けの講座と並行し、保護者向けに「親子で楽しく、野菜の好き嫌いをなくそう」というタイトルで、保坂講師が講義を行いました。テキストの資料にありますように、好き嫌いの理由などを説明するとともに、函館市の食育推進計画などをご紹介しました。講義後は、調理実習となります。(食育テキストはこちらから)
⑮講義で使用したテキスト(一部抜粋)です。 スライドを使いながら、好き嫌いについて丁寧に講義を行いました |
⑯調理実習を行う保護者の皆さん。 食物栄養学科教員と学生ボランティアがサポートしています |
子ども達は調理室に移動し、手洗いを済ませたら、調理実習開始です。にんじんをピーラーで薄くリボン状にし、ベーコンとともに型抜きします。ゴマはすり鉢ですります。
⑰にんじんをピーラーでリボン状にします |
⑱ゴマはゆっくり丁寧にすります |
子ども達の切った野菜やベーコンを使って、お母さん、お父さん達は料理の仕上げに入りました。
⑲これで、お料理の完成です! |
⑳にんじんについての講義を聴いて、いただきますになります |
待ちに待った、試食タイムです! 親子揃って、自分達で作ったソーダブレッド、野菜スープ、にんじんジャム、そしてデザートのいちごを楽しみます。野菜嫌いの子どもも、ほぼ全員が、これらのお料理をおいしく食べられたようで、スタッフ一同、ほっとしました。試食終了後、アンケートにご協力いただきました。
早速、試食です! |
にぎやかに試食します |
試食タイムに、お母さんとニッコリ記念撮影です |
試食タイムの後は、保坂静子専任講師の総括の後、輪島進一教授より閉講の挨拶を致しました。学生ボランティアは、白衣を脱いで帰り支度が整った子ども達に野菜のプレゼントを渡し、短大玄関まで見送りました。
一般の方を対象とした食育講座は、函館短期大学では3回目の取り組みでした。講座はケガや事故もなく、無事に終了しました。講座終了時に行ったアンケートの集計結果からは、親子ともに、満足度が非常に高いことが伺えました。
なお、今回の食育講座を経て、学生ボランティアは、実際に子どもを指導する難しさや準備の大切さを感じるとともに、子どもと触れ合う楽しさ、講座を成し遂げた達成感を十分に感じることが出来たようです。これから幼稚園や小学校、中学校などで行う教育実習を控えている学生達は、今回の講座を通じて、栄養教諭や幼稚園教諭、保育士になるという自分達の目標が、より明確になったのではないかと思います。
また、参加してくださった皆さんには、本講座で好き嫌いや野菜について学び、親子で力を合わせて調理することなどを体験していただきました。試食の際には、にんじん嫌いのお子さんも、にんじんジャムなどを味わっていたようで、スタッフ一同大変うれしく思いました。本講座をきっかけに、栄養豊富な野菜をいただく楽しさなどを感じていただければ幸いです。
なお、講座開催前には北海道新聞と函館新聞に参加者募集の記事が掲載されるとともに、講座当日はケーブルテレビ局NCV、函館新聞、北海道通信、北海道新聞が来訪し、後日、当講座がニュース番組や新聞記事等で報道されました。