「人が食べる」ことは、単に栄養面だけではなく精神的・文化的な側面があり、食事によってコミュニケーションを深める機能をもっている。
しかし、近年、食事リズムの乱れや欠食、孤食の増加、また、食の安全上の問題など「食べる」ことの課題が多くなり、これらの改善のため、平成17年には「食育基本法」が制定され、小学校、地域や企業等においても国民運動として食育の取り組みが進められているところである。
今回、当福祉栄養学科において「食育セミナー」を開催し、大学生・園児と保護者の健康づくりの推進を図るとともに、学生が授業で学んだことを生かして食育を体験し、管理栄養士像の理解をすすめることを目的とする。
H25年1月17日(木)午前10時40分から正午まで
H25年1月18日(金)午前10時40分から正午まで
関西女子短期大学附属幼稚園
福祉栄養学科2年生が幼稚園に出向き、”野菜を好きになってね”の食育を実施した。計画では幼稚園の保育室で包丁や火を使わないサラダを作る食育クッキング12月に試作やリハーサルも行ったが、年末年始にはノロウイルスの危険が増したため、急きょ、野菜の現物やパズルなどを使った食育に変更し、実施した。学生には戸惑いもあったが「食」の専門家として特に衛生面にも気配りが必要なことも学ぶことができました。
1)教室に集合し最終打ち合わせを行ってから食育グッズを持ち、幼稚園に出向く。
2)幼稚園のお遊戯室で園長先生にご挨拶、大西主任から諸注意のあと班ごとに保育室に入る。
3)あいさつのあと、小グループに分かれて食育を行う。
○野菜や果物の写真のジグソーパズル
○野菜や果物の切り口写真のシート
○野菜カード(大阪府の食育教材)
○野菜バリバリ元気っこのCD(大阪府の食育教材)
○野菜(ホール、輪切りなど)
園児5クラス130人、学生は84人
☆野菜はきれいに洗って持っていきました。 | ☆4歳児の保育室に入ると大きな声で「よろしくお願いします」とあいさつをしてくれました。 |
☆さくらんぼ、いちご、チンゲン菜、キャベツの切り口などたくさんの写真をパズルにしました。学生も園児も初めは緊張していましたが、よく知っている果物や野菜をみて元気な声がでました。 |
☆まるごと野菜を持ってみたり切り口の模様を観察しました。においもよくわかりました。 |
☆まるっぽの大根、はくさい、かぼちゃは大きくて重くて大人気でした。 |
☆白菜は葉をはがしてみました。セロリは知らない園児が多かったですが形やにおいは人気がありました。 食べ物を教材にする時の注意点としてはっぱをちぎるときも粗末に扱わないよう注意し園児にも声掛けをしました。普段から先生も物を大切にするように教えておられ、園児のマナーはりっぱでした。 教材の野菜はあとで幼稚園の先生がお味噌汁に使ってくださるそうです。 |
☆せっかく練習もしたのに中止になったクッキング「ちぎってサラダ」ざんねん! |
園児に食育をおこなった学生の”学びシート”から(抜粋) |
幼稚園の先生は、園児たち全員をずっと見続けて、何かあれば飛んできて、私たちを影で支えてくれて、パワフルさやすごさをあらためて実感した。 |
(野菜のことを)知らなくても話をすると興味をもつので、とてもやりがいを感じた。野菜を持ってもらった時のキラキラした目が忘れられません。 |
幼稚園の先生が何度かきてくれて、ありがたかった。自分の力不足とチームワークの悪さをとても感じた。 |
野菜がきらい、くさいといったネガティブ発言にどう対応すればよいのか、野菜の知識や自分自身の体験が必要だと思った。 |
食材を大切にする。粗末に扱ってはいけないといということも知ってもらわなければならないと思った。 |
子どもの集中力をずっとひきつけたまま物事をするのは大変で、もっと打ち合わせが必要だと思った。 |
園児がまわりのお友達への配慮や順番をゆずったりするのをみて、食育は食の事だけではなく、食を通じて様々ことが学べる教育だと感じた。 |
H25年3月7日(木)午前10時30分から午後1時30分まで
関西福祉科学大学大学3号館調理実習室B (4)試食・グループワーク 進行役・学科学生
幼稚園の保護者を対象に講演と調理実習、本学学生と懇談
【テーマ】こどもに伝えたい食の文化・食のマナー
1)あいさつ 福祉栄養学科長 的場 輝佳
2)講演「こどもに伝えたい食の文化・食のマナー」
講師 芦屋学園短期大学 生活創造学科
准教授 上村 昭子
3)料理教室「かざり巻きずしに挑戦・野菜料理もね」
講師 健康福祉学部福祉栄養学科 准教授 澤田崇子(調理学担当)
健康福祉学部福祉栄養学科 講 師 有泉みずほ(小児栄養担当)
サポート 学科学生2~3年生
4)試食・グループワーク 各班の進行役・学科学生
保護者34人、幼稚園の先生3人、学生11人あいさつ 福祉栄養学科
ポスター | 当日の次第 |
学科長あいさつ・日本フードスペシャリスト協会の紹介 |
講演『子どもに伝えたい食の文化・食のマナー』 | 講師 芦屋学園短期大学 生活創造学科 准教授 上村 昭子 |
講演資料の一部 |
講演資料の一部 |
講演資料の一部 |
講演資料の一部 |
講演資料の一部 |
開始前に先生から飾り巻きずしの直前特訓 ”一人1本上手に巻く” のあと、本番に臨んだ。 |
保護者の料理の手際の良さに圧倒されながらも学生は器具を用意したり、調味料の確認をしたりしながら段取りを考えました。 |
「まきす」はお持ち帰りいただくようにした。おうちで子どもさんと一緒に作ってもらえたらよいと思う。 |
保護者への食育セミナー参加者の感想から(抜粋) |
すごく楽しかったです。頑張って家で作ってあげたいです。 |
巻きずしは初めて作ったのですが思っていたより簡単にできました。 |
茶碗蒸しに豆乳やパプリカ・ブロッコリーなど普段使ったことがないので新鮮でした。 |
日頃、自己流の料理なのでこういう機会に料理の幅を広げたい。 |
茶碗蒸しを作ったことがなかったので自分が担当し完成した時はとてもうれしかった。 |
飾り巻きずしを切ってみた感動を子供にも体験させてやりたい。 |
いろんな方と話ができ料理も勉強になった。有意義であった。ありがとうございました。 |
(講演を聞いて)はし置き使うようにします。桜の柄のはし置きを買って帰ります。 |
日本の行事に合わせた食事を作ることの大切さ、日本の伝統についてあらためて考えることができた。こういう内容で続けていただけると良いと思う。 |
季節や人生の節目の特別料理も用意したいと反省しました。 |
外食の話が参考になった。いろいろな食べ物、お店の雰囲気など店を選んで体験させてやりたい。 |
器の大切さや季節など、忘れがちなことを教わった。家でもしっかり教えていこうと思った。 |
一人で参加だったので不安だったが参加してよかった。学生さんもしっかりサポートしていただいた。 |
[おわりに]
今回は日本フードスペシャリスト協会の助成を受けて有意義な食育を実施することができ、感謝いたします。今後、大学HP、学園広報、福科大通信、教育後援会広報などにおいて活動報告の予定です。