高齢化社会を迎え、シニア世代の健康長寿のためには、健全な食生活を営むことが大切である。しかるに、現在、栄養バランスの偏り、低栄養、孤食化など様々な課題が生じている。
「食」は社会の縮図であり、これらの課題に対しては、シニア本人と家族、地域社会、食に係わる企業や団体が連携して取り組む必要がある。
このため、シニア世代の人々やこれに影響力を持つ関係者を対象とし、食に関する多面的な知識・手法を、様々な分野の専門家がわかりやすく紹介する市民講座を開催し、食に携わる人々はもとより一般市民の啓発をおこなう。
南青山会館本館3・4号会議室 東京都港区南青山5-7-10
第1回:平成25年10月30日13時30分~17時
第2回:平成25年12月 4日 同 上
人 数:第1回41人 第2回44人
対象者:食に関心を持つシニア世代の人々やこれに影響力を持つ食品企業・団体の広報・商品開発・品質管理等の関係者、食育関連団体関係者
年齢層:概ね40代~60代
② 第2回
公益財団法人すこやか食生活協会専務理事 門間 裕
健康長寿は、本人や家族の生活の豊かさだけでなく、国の医療制度や社会保障の観点からも大きな意味を持っている。身体的・社会的・精神的要因のいずれもが健康維持に重要であり、地域の住みやすさ、咀嚼力と生きがいの保持、ある程度の収入と社会参加が健康寿命の維持・延長に大きく作用している。
健康寿命を伸ばすには、生活習慣病の予防だけでなく、身体機能や生活機能の低下にあわせた食生活の注意が必要である。加齢に伴い、疾病構造や身体の変化がある。また、それにあわせて食事内容も変化するが、栄養問題は過剰摂取と摂取不足による低栄養の両方がある。身体機能の低下に伴い、食べ物の調達・準備の整備も必要である。
食品には栄養機能、感覚・嗜好機能に加え生体調節機能がある。食品の機能を理解し、健康に役立てることが重要である。農産物・食品には、生活習慣病をはじめとする酸化ストレスに由来する様々な疾患やアレルギーの予防等に役立つ成分が含まれている。機能性の評価は、期待する効果の明確化、評価する方法の選択及びエビデンスの明示が必要である。そこで、抗酸化能評価法の開発とその利用、抗アレルギー活性評価法などの実用化に向け研究・開発を進めている。
食品の機能性発現に微生物はどう役立つかという観点で特定保健用食品をはじめとする機能性食品や機能性素材の製造における微生物利用の現状を概観する。新しい機能性微生物の開発、新しい機能性食品・素材の開発、既存の機能性食品・素材の効率的生産により機能性食品が開発されており、今後、さらに研究開発が進むものと考えている。