平成25年度一般向け啓発事業 実施報告書

松本大学 人間健康学部健康栄養学科

教授 廣田直子

 

1.事業概要

1)事業名称

子ども料理教室 -生ゴミ循環システムで栽培した食材で、プロフェッショナルから料理を習う!-

2)背景・目的

松本大学は、地域立大学として地域への貢献を特色としており、健康栄養学科では、特に食を通した地域貢献すなわち食育を行っている。

これまでに地域との連携を伴う食育活動として、生ゴミ循環システムの構築を行ってきた。人々が食生活を営む上でなんらかの形で管理しなければならない生ゴミは、地域の信頼・規範・ネットワークを考えていく題材として優れている。また、生ゴミを堆肥化し、それを利用して野菜をつくり、その収穫物を食べるという循環システムに関わることは、人々に各自の食生活を意識し、見直す機会を与える。その結果として、地域の農業を考える場が提供され、健康づくり・栄養学的観点からの食育推進にもつながると考えられる。

本事業では大学を基点として地域の食育を推進する観点から、児童の料理教室を通じて、各家庭の食への意識を高めることを目的としている。料理教室に際しては、事前に生ゴミ循環システムにより作成した肥料で野菜を育て、食材として使用する。その他、地元松本市内で栽培された食材も使用する。また、講師として、松本市内のレストラン「ヒカリヤニシ」統括料理長の田邊真宏シェフを迎え、参加する子どもたちにもコックコートを着用してもらい、プロから料理を学ぶ機会を設定することで、子どもたちの自尊感情を刺激し、この学びをより効果的なものとする。

3)開催日

平成25年7月14日(日):受付10:00~、教室10:30~13:40(含む40分延長分)

平成25年12月22日(日):受付12:50~、教室13:30~16:30(含む1時間延長分)

4)開催場所

松本大学 6号館調理学実習室および実習食堂

5)参加者人数 

7月14日(日)23名(4歳児1名、小学生1年生~6年生まで22名人)

付き添いの保護者

12月22日(日)11名(小学校4年生~6年生)

付き添いの保護者

6)講師および運営スタッフ

松本市扉温泉「明神館」、松本市レストラン「ヒカリヤ」統括料理長 田邊真宏シェフ

運営スタッフ 健康栄養学科3年生 8名、健康栄養学科教授 廣田直子

 

2.実施内容

1)7月14日(日) “野菜マジック 子ども料理教室”(レシピは別紙を参照)

「まつもと広域ものづくりフェア」の1企画として実施し、実施案内や広報は「まつもと広域ものづくりフェア」実行委員会が実施してくださいました。

 

8:30 スタッフ集合…ミーティング後、それぞれの役割にそって準備を進めました。「まつもと広域ものづくりフェア」の各企画は当日受付となっていたため、事前に参加人数が確定していませんでした。順次、参加人数が増えていき、最終的に参加してくれた子どもたちは、23人となりました。
10:00 ブースでの参加者受付…10時前後から参加する子どもたちと保護者の皆さんが集まり始めました。受付でグループ分けをして、この日のために用意した子ども用のコックコートとワインカラーのエプロン・コックタイを着用してもらいました。コック帽をフィットさせてから、写真撮影。「かぁわいい!!」「かっこいい!!」などの声があがって、子どもたちは照れくさそうでもあり、誇らしそうでもあり、笑顔が弾けました。
10:30 開会セレモニー…担当の学生の司会で、開会式。廣田のあいさつの後、田邉シェフが今日の教室のねらいなどを説明してくださいました。
10:50 調理開始…田邉シェフがメニューにそった食育につながるポイントと料理づくりの注意点を説明してくださり、その後、各グループにスタッフの学生が先生として就いて、調理を開始しました。4歳の男児から(小学生以上が対象でしたが、姉弟いっしょに参加したいということで参加を可としました)6年生まで、グループに分かれて作業を進めました。グループごとに特徴はありますが、皆「切る」作業や「加熱する」作業には真剣な目で取り組んでいました。上級生のやり方を見ていて、小さい子たちからは、「お姉ちゃん、すごいね」という言葉が出ていました。子どもたちは“野菜マジック”のポイントで、びっくりしたり、楽しそうに作業をしたりしていました。
12:50 できあがり、試食開始…終了予定時刻を過ぎてできあがり。実習食堂のほうに移動して、「いただきます!」。

保護者からは、「普段、嫌いで食べないものが入った料理も食べてくれていて、うれしいです!」という感想も聞かれました。
試食に合わせて、運営スタッフの学生が、今日の材料となっている野菜で生ごみ循環プロジェクトの畑で育てているものについてプレゼンテーションを行い、野菜を食べようとする意識に働きかけました。

13:40 閉会セレモニー…参加した子どもたちに田邉シェフから「3つ星シェフ」のバッジを渡していただき、アンケート記入後、解散しました。

 

2)12月22日(日) “おうちで作ろう! 野菜でクリスマス☆” (広報のためのタ市民タイムズへの情報提供内容は別紙参照)(レシピは別紙を参照)

 

11:00 スタッフ集合
12:50 受付開始…前回同様、子どもたちにはコックコートを着用してもらいました。皆、うれしそうです。
13:30 開会セレモニー…廣田のあいさつの後、田邊シェフから今日の教室のねらいについて説明していただきました。
13:45 調理スタート…4~6年生を対象として募集しましたが、姉弟と一緒に参加してくれた小学3年生の男の子が1名加わりました。子どもたちもスタッフの学生もコックコートに、コック帽のシェフ気分で野菜ペーストを混ぜた生クリームのロールケーキと、野菜のブーケのクレープづくりにチャレンジしました。運営スタッフの学生の話では、6年生くらいになると、シェフからの指導の後、「じゃ、やってみよう!」といっても無邪気に「私がやりたい!」という感じではなく、引いてしまうので、なかなか難しかったということです。学生たちは、それをどんなふうにリードしていけばいいのかを考え、学習する場をいただいたということになります。予定時刻をオーバーして、やっと完成。やはり、皆、うれしそうでした。

15:30 でき上がり…長い時間お待ちいただいた保護者の皆さんにも加わっていただき、「いただきます!!」。皆で試食をして、その後、野菜に関する栄養教育を行いました。やはり低学年の子のほうが元気に質問に応えてくれました。
子どもたちからいただいた「また、やってね!」の言葉は、学生たちにとっては、うれしい言葉でした。

 

3.アンケート結果 (アンケート用紙は別紙を参照:12月分)

12月分の子どもたちへのアンケート結果の一部をご紹介します。

(1)今日は楽しかったですか? 楽しかった 11名(100%)
(2)苦手な野菜はありますか? ある 7名(63.6%):ゴーヤ、セロリ、ほうれん草 他
  ない 4名(36.4%)
(3)家でまたつくれそうですか? はい 11名(100%)

(4)野菜のお話はどうでしたか?

(5)また参加したいですか? はい 11名(100%)

その時は何をつくりたいですか?

※全体の感想