‐食に関する一般向け啓発事業報告書‐
「エコ・クッキングと食育」
新渡戸文化短期大学
―はじめに―
平成23年度環境省の報告によると我が国の一般廃棄物の排出量は年間4539万トンで、1人1日当たりのごみ排出量は975gである。中でも野菜や果物に由来する廃棄量は高く、日本食品成分表によるとおよそ5~20%が見込まれる。そこで、環境に配慮したエコ・クッキングの手法を調理に導入することで、生ゴミ量の削減を図りたいと考え、野菜や果物を使用した菓子作りを検討し、それらの有用性をはかるため、講義および発表を通じてエコ・クッキングの普及活動を実施した。
―実施記録―
(1)
Let’s tryエコ・クッキング
実施対象:高校生および保護者対象本学オープンキャンパス
実施日:平成25年7月27日(土)
参加者:30名
(2)
エコ・クッキングによる野菜および果物廃棄率削除効果(発表資料はこちらから)
実施対象:調理学教員対象・調理科学会
実施日:平成25年8月23日(金)、24日(土)
参加者:20名
(3)
エコ・クッキングを取り入れたミネストローネ・フォカッチャ(発表資料はこちらから)
実施対象:小学生以上の本学文化祭来校者
実施日:平成25年10月27日(日)
参加者:200名
―実施を終えて―
- 野菜や果物を使用した菓子作りにおいて、通常法に対するエコ法の廃棄量削減率は一食あたり、にんじんケーキ8.6%、ごぼうクッキー8.6%、みかんケーキ25.8%、梨デニッシュ8.9%となり、いずれもエコ法によって大幅な削減が可能であった。
- 官能評価では、にんじんケーキ、ごぼうクッキーおよび梨デニッシュについて、皮を使用したエコ法による試作品の方が通常法よりも色調の鮮やかさが劣り、5%危険率の有意差が認められた。しかし、いずれも味の差はなく、廃棄部分を使用しても良好と評価された。みかんケーキについては皮を使用したエコ法による試作品の色調が通常法に対して劣り、1%の危険率で有意差が認められたが、味の評価では香気成分を多く含む皮を使用しているため、エコ法は香りが強く、より良好との評価を得た。
- 以上の結果から、野菜や果物の皮を利用する調理法によって生ゴミ削減効果が得られ、色調をより鮮やかにするための工夫は必要と思われたが、菓子としての適性も認められた。今後は、調理過程で使用する水量やガス量も測定し、エコ法と通常法の比較検討をさらに進めたいと考えている。
- 本研究を遂行するにあたり、実験にご協力いただきました新渡戸文化短期大学生活学科食品学研究室卒研生諸氏に深謝いたします。
- また、本研究の一部は公益社団法人日本フードスペシャリスト協会一般啓発事業の受託研究によるものであり、ここに感謝申し上げます。