平成24年2月、政府は省庁連絡会議でユネスコの無形文化遺産に「和食 日本人の伝統的な食文化」を提案することを決定したことから、昨年度の本講座では「日本の食文化をみなおす」と題して6回の講座を開講した。その結果平成24年度報告書に示した様に、受講者の評価も良く、今後の希望テーマとして「日本食の食材や簡単な調理」等の希望がみられた。日本食の食材は優れた食品も多く、再度『和食』のテーマでの開催を計画した。身の回りの食材を見直すことで、日本食の“魅力”を健康面への配慮も踏まえ啓蒙してゆきたいと考えている。特別な食事ではなく、普段の食事が豊かに健康的なものになる様に伝達してゆきたい。
講座は講義・デモンストレーション・調理実習を組み合わせて5回とする。調理実習は予約制とするが、他は自由参加とする。
第1回 平成25年10月12日(土) 13:00~14:30
和食と食空間(講義とデモンストレーション)
講師:氏家正子(食空間コーディネーター)
日本食の魅力の一つに<美しさ>があります。借景を取り入れた空間作り、床の間の花、料理を盛る器の多様さ、盛り付けの美しさ、すべてに様式美があり、そこに<おもてなしの心>をたいせつにする気遣いが加わって、最高の会食の場が完成します。西洋と日本の食空間の基本的考え方の違いを考えながら、見て美しく美味しい和食<会席>の時間系列型のサービスをごらんいただきます。
第2回 平成25年11月9日(土) 13:00~14:30
“乾物”の魅力(講義)
講師:渡邉隆子(昭和学院短期大学准教授)
乾物は野菜・海藻・魚介類などを、水分を抜き、保存できるように乾燥した食品です。保存性もさることながら、香りや旨みが増し、ビタミンや、カルシウム、鉄といったミネラル、食物繊維などの栄養素が濃縮されています。本講座では乾物の魅力を見直します。日常よく使われる身近な乾物から、その魅力を確認していただきます。
第3回 平成25年12月14日(土) 13:00~14:30
塩蔵、糖蔵について(講義)
講師:端田寛子(昭和学院短期大学助教)
梅干し、漬物、甘煮などの塩蔵品や糖蔵品は和食に欠かせない食品です。この講義では昔から伝わる保存食のメカニズムについて、食品と水分の関係を中心にお話します。
食卓のわき役として登場することの多い食品ですが、加工の原理を知ることによってさらにおいしくいただくことができるかと思います。
第4回 平成26年1月18(土) 13:00~14:30
魚介類の生食文化(講義)
講師:畑江敬子(昭和学院短期大学学長)
日本人は新鮮な魚介類を、さしみ、すし、たたき、しめさば等として、生で食べる習慣があります。これは、最近まで、世界的にはあまり見られなかった食文化です。いつごろから、どんな形で、食べられてきたのでしょうか。さらに生で食べるといっても、そこには祖先から伝わった生活の知恵や日本人の繊細な心遣いをみることができます。あらためて日本の食文化を見つめてみましょう。
第5回 平成26年2月15日(土) 13:00~14:30
簡単で美味しい和食メニュー(調理実習)
講師:福永淑子(昭和学院短期大学特任教授)
和食は、いま世界でもっとも注目されている食事です。食材をきのこ、寒ブリと葉菜・根菜類を組み合わせたバランスのとれた健康に良い食事メニューにしました。きのこご飯、ブリの照り焼き、白菜と油揚げの煮物と、ごぼう、人参、大根などの根菜をたっぷり入れた豚汁はいかがでしょうか?!伝統的なスローライフの食材を現代風にアレンジした調理実習を楽しみしながらやっていただきます。
メニュー
しめじご飯・豚汁・ぶりの照り焼き・白菜と油揚げの煮物
人 数 | :第1回 28名、第2回 27名、第3回 15名、第4回 24名、第5回 22名 計116名 |
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年齢層 | :参加者は20歳代から70歳代、60歳代が一番多く47%、70歳代が29%、50歳代が19% |
各講座の終了後、受講者にアンケートの記入をお願いした。
アンケートは参加者116名中、110名より回収された。(回収率95%)
参加者の性別では、女性が81%、男性が19%、住まいは市川市の方が85%であった。つまり大学に比較的近い50~70歳代女性が大半だった。
感想は①とても参考になった 92% ②まあまあ参考になった 6%とほとんどの方が満足戴ける内容であったと言える。
今後の希望テーマは、行事食や伝統食、高齢者向け毎日の食事のヒント、野菜や乾物を利用した調理、野菜の保存方法、手軽にできる調理実習等の要望があった。これらをまた次回に反映させていきたい。
この講座を楽しみにしている方々がいて、本年度も積極的に参加してくれた。今年度は、日本の食文化についての講座を開いたが、ある程度の年齢の方でも和食について知りたいという要望が多いことも分かった。一方、毎年のことであるが、若い年齢層への参加を如何に広報していくかが課題である。