【開催概要】
日 時:平成27年11月7日(土)13時30分~16時30分
場 所:日本大学生物資源科学部1号館122教室
主 催:日本大学生物資科学部
共 催:公益法人 日本フードスペシャリスト協会
テーマ:質の高い食を守るためにはどうしたらよいか
対象者:一般、学生、教職員など128名
【概 要】
高度経済成長以降、日本においては、貧しさから脱却を果たし、もののレベルでは豊かな食卓が実現した。それに伴い、質の高い食に対する消費者のニーズは高まっていると言われます。しかし、その一方で、食の安全・安心のゆらぎや食の基礎をなす農林漁業の衰退と食料自給率の低下など、様々な問題が生じています。そのため、もののレベルの食卓の豊かさとは異なり、日本における食は、質的な面で、多くの課題を抱えているといえます。
また、肝心の質の高い食をめぐる問題について、一般的には詰めた議論はあまりなされているとは言えず、その内実や要件については明らかにされていません。
そのため、そもそも質の高い食とは何か、今日における状況はどのようになっているのか、そうした食を守るためにはどうすればよいかなどについて、経済・社会システム、特に消費のあり方について掘り下げて考えるために、関連する問題に造詣が深い、農政・食生活ジャーナリストの山本謙治氏を招きし、「本当に質の高い食とは何か-「エシカルな食」の必要性-」を演題とした講演会を行いました。
山本謙治先生による講演(1) | 山本謙治先生による講演(2) |
あわせて、山本謙治先生をコーディネーターとしつつ、本学の食品ビジネス学科・高橋巌教授、同学科・谷米温子助教および食品ビジネス学科においてフードスペシャリスト論を学んでいる学生の代表者2名をパネリストとして、「質の高い食を守るために―「エシカルな食」の現状と課題―」をテーマとして、パネルディスカッションを実施しました。
パネルディスカッションの様子 |
そうした中で、安全・安心で、新鮮、おいしい食べ物とは具体的にどのようなものであり、どのように生産・流通・消費され、コストがどのくらいかかり、そうした食べ物が一般に普及するには何が課題なのかなどについて検討を行い、価格が安すぎる食品は、どうしても無理があり、安全性やその他の品質面で問題が多いこと、質の高い食を守っていくためには、消費者が食や農について掘り下げて学び、倫理的な消費を実施する必要があることなどが指摘されました。
アンケート結果では、講演会及びパネルディスカッションの評価は高く、「日本全体の食に対する考え方が一部浅はかだと実感した」、「食品について様々な視点から考えるきっかけになりました。農業が大切に考えられていく国になればと思いました」などの意見が寄せられました。